発売から2年以上経ってもまだこの有様ということで最近もまたニュースサイトなんかで納期について取り上げられたりしていますね。
著名なカーメディアのライターさんなんかは仕事上の繋がりで内情なんかも関係者からインタビューしたり身のある記事だったりするのですが、時にはさらっと上辺だけ掬ったポストも多いように見受けられます。
自分で言うのもアレですが、当ブログも一応毎月納期の動向を追っているのでリアルな納期の動きを知るには負けてないとは思うのですがやはりネームバリューや権威筋には敵いません。
今月も細々と紹介していきます(涙)
とりあえず、先月の情報をまだご覧になられていない方は流れを読むために復習からどうぞ!
その時々のみを摘んで納期がどうのって言ってもわからないんですよね。
毎月調べてると潮目の変わり方などが見えてきます。
なんでこんな執着しているのか自分でもよくわかりませんが、長い納車待ちが楽しかったのもありますが待ち遠しくもあったので、そんな待っている方へ「早くなるかもよ!」って言うワクワクを届けたいんだと思います。
納車待ち民時代はそれにすがってたので。
と言うわけで今月も見ていきましょう!
2021年2月の販売台数情報をチェック
こちら恒例の全軽自協の発表する販売台数をまずはみていきましょう。
先月1月の販売台数は3,887台とお正月休みなどを考慮すると依然高水準の販売数でしたが今月分の発表はどうだったでしょうか。
なんと2月の販売台数は4,138台となりました。
製造マシマシをキープしているというのがわかりますね。
2月は日数自体が少なかったのですがこの販売台数です。
ペースとしては1月をキープしているかちょい増しな感じです。
同じペースであれば来月は4,500くらいの数字になっても良いかもしれませんね。
この2月に販売された分はばらつきはあるのでしょうが、おそらく年末年始くらいに完成した車両が多いと思うので、年末年始休みの期間でもそれほど工場の稼働は落としていなかったってことなんですかね。頭が下がります。
SNSでの納車報告での納期の体感
しかし本当に販売台数の割には一気には解消とはなりませんが今月も多くの納車報告を目にしました。
先月に6ヶ月前後も見るようになったがキャンセル車やディーラー発注車の可能性もあるので、と書きましたが、6ヶ月くらいのものはキャンセルなどではなく最短組と考えて良さそうです。
というのも最近は6ヶ月組も珍しくなくなってきたからです。
そう聞くと「よっしゃーじゃあすぐにみんな6ヶ月くらいになるのかー!」と甘く考えてはいけません。
長い方は1年3ヶ月なんかもまだまだいらっしゃいます。
すごく格差があって納期を調べているだけなのですが、「よっしゃー6ヶ月!」の後に「やっと来ました15ヶ月…」を見るとなんだか心苦しくなります。
というわけで今現在のリアルな納期を考察すると6ヶ月~15ヶ月くらいの格差が大きい状況になっています。
先月も同じような納車待ちの幅ではあったのですが、その幅広い納期の中でもボリュームゾーンのポイントは少しずつ下がってきていると感じます。
ですので、先月は6~18ヶ月で平均10~11ヶ月くらいだったのが、今月は6~15ヶ月くらいになり、平均は10ヶ月くらいにはなったのではと感じました。
今月もわずかではありますが確実に短くなってはいる印象です。
しかし、毎月ごとに半月から1ヶ月縮まっていけば今年中には解消しそうな気がしますよね。
湖西工場の一部操業停止
2月13日に起きた地震の影響から湖西工場で一部が操業停止になったことを伝えたニュースがありました。
湖西工場はまさしくジムニーを作っている工場なのですが、影響があったのでしょうか。
一部というのがどの程度でどれくらい製造に関わるのか、また期間はいつまででもう問題ないのかなど詳細がわからないので、このあたりは販売台数の数値などを見て考察する以外には調べようがなさそうです。
インドでジムニーの販売を検討
先月版でインド工場の生産開始のニュースを取り上げました。
てっきりインドでは販売されているものだと思ってたんですが違うんですね。
インドではジムニーが走っていることは知っていたんですが、それはインド生産のジプシーなどであくまでジムニーベースのものだったんですね。
マルチ・スズキ・インディアでは 中南米、中東、アフリカ等への輸出車を作っていますが、この度「オートエキスポ」で公開した際の来場者の反応も良かったとのことで販売を検討しているという記事です。
今では海外のジムニーはインド生産のものになるので国内の納期に影響することはないでしょう。
製造ラインを増設した方が良いという論調
ニュースメディアで2年もこの納期問題が解決されない現状が続くということは、最近の気象事情などもあり需要はずっと続くのでラインを増やして増産する方が良い、顧客満足度のために努力すべきという記事がありました。
しかし、スズキは需要が落ち着いたときに余剰な生産規模があることは不利益なので難しいと答えています。
僕も散々待って待って遅いな―と何度も思いましたが、スズキの言っている通り、今、納期問題を解決するためだけにラインを増やすという選択は間違いかと思います。
そのネット記事にジムニーを待った上で一オーナーがちょっと反論してみたいと思います。
(ネット記事はググればすぐ見つかると思います。気になる方は見てみるのもいいかもしれません。)
ジムニーの一貫したコンセプトを維持するためには増やせない
ジムニーがこれまで末永く存在できたことを鑑みると、商業カーを意識しすぎず”実用”を根本に作り続けていることが大きいと思うんです。
ジムニーはラダーフレームに4WDと林業や狩猟など仕事で使う上で安心できるスペックだったり、雪国の郵便でも使われたりと信頼できる働く車です。
そんな本格的な作りであるからオフロードのレースで使われたり、仕事でなくても荒れ地を走るのに最適な一台として選ばれます。
そういった本格的なオフロード走行をしない人にも、「ガチの人たちが乗る四駆だからかっこいい」「いざという時の信頼性はお墨付きだ」と思ってさらに間口が広がっていると思うんです。
昨今では、かつてラダーフレームを採用していた質実剛健な四駆たちもモノコックボディになったり、独立懸架になったりとイマドキSUV化が進んでいます。
乗り心地は絶対にいいですし、燃費もコストも考えると資本主義的な考えで言えば大正解です。
しかし、世間の風潮がそうなったことで、本格的で根本が変わらないジムニーという存在価値がより高まったんだと思います。
それ故、製造過程での構造上、他の車種では流用しにくいジムニーのラインを増やしても需要が落ち着いてしまったらスズキにとってはお荷物以外の何物でもないのです。
ジムニーは現行モデルの息が長い
JB64は前型のJB23からは約20年ぶりのフルモデルチェンジと、現行モデルの息が長いのも特徴です。
広告費をたくさんかけて宣伝して、たくさん売って、売り切ったらモデルチェンジという商業モデルとは根本的な考えが違うのがジムニーなんですね。
その流用しづらいラインは一度作ったら長く作り続けないと採算が合わないのでしょう。
なので長く同一モデルが維持され、それによってショップからもパーツが多く作られるというジムニー好きとしては良い循環ができているわけです。
そう考えるとやはりラインを増やすというのは危険な考えかと思えます。
仮にこの需要がずっと途切れなかった場合。
新型ジムニーが確固たる人気となり、本当にラインを増やしたほうが良かったと実証できるくらいの需要だとしたら僕の考えは間違えだったとなるのですが、それほどまでの需要が実証されブルーオーシャンを謳歌してたとしたら他のメーカーが参入しないわけないですよね?
以前にはパジェロミニなどもありましたし、市場が独壇場過ぎれば商業的参入は起こるはずです、そうなった時にジムニーの需要が落ちることがあればラインを増やしたことがまたスズキの首を締めます。
商品の本質的な価値を見ずに収支だけを見て、採算の取れないものは切り捨てるというのは不況の中での大企業はやりがちです。その指がジムニーに向いたらと思うと…。
鈴木修氏が退いた今はなおさら心配にもなってしまうもの。
ジムニーは”そういう車”であるということ
JB64はそのデザインからも人気になりこれまで以上の多くの人が注目し乗られる車になりました。
僕もそのうちの一人ではあるのですが、最低限オフロード車とはなにかというのはわかっていたつもりで、父のランクル60やダッジなどで体感もできていたと思います。が、中にはジムニーの見た目に魅了され買ってはみたが乗ってみると、乗り心地が悪い、狭い、うるさいなどとイメージと違ったという方もいる様子。
本格クロカン四駆ですので間口が広がればもちろんそういうこともあるでしょうが、悪く言えば”ミーハー”な人気なものが好き、新しい物好きの人が群がった時にこの【1年待ち】が最初の良いハードルになっていると思うのです。
「ライン増やせないんですわ。本格オフカーなので」のスタイルで突き放すくらいの方がミーハーさんにとっても結局は幸せな結末になっているんじゃないかと思うのです。
逆に本格オフカーを求めている人にとっては他に選択肢はないのでおとなしく待つわけです。乗り心地悪くても狭くてもうるさくてもそれを知っていて買うので文句はありません。むしろこれまでのジムニーと比べて乗り心地も室内空間も静粛性もアップしていて感動すらしているんですから。
この長い納期が実は丁度いい最初のテストみたいな役割になっている気がするのでその点からもライン増設は違うんじゃないかと思っています。
ラインは増やさずともスズキは頑張って製造台数を増やしている
ネットで見た記事でも発売当初と今では製造台数を増やして対応していると書かれています。
しかしその後です、その記事では「それでも納期は縮まらない」と締めています。
お仕事でいろいろな車を追っかけてその一つでジムニーの納期を取り上げるだけだとそのような考察になるのは仕方ありませんが、新型ジムニーだけの納期を1年以上追っかけてきた僕から見ると「それでも納期は縮まらない」 とは絶対になりません。
結果としては納期の完全な解消にはなっていませんが、納期は確実に縮まっています。
そして月ごとに見ていくと「納期が縮まらない」とは言えないことが紐解けます。
まず考慮しないといけないのはコロナです。
2020年の最初は2019年下半期から着実に生産台数を増やしていて納期を少しずつ短縮に向かっていっているところでした。
そこにコロナウイルスの影響が出てきます。
コロナウイルスにより2月3月4月5月の販売台数が著しく落ち込みます。これは緊急事態宣言などでディーラー店舗の営業ができなかったことや客足が減ったこと。
それに加え、4月5月は工場の稼働状況にも影響を受けています。操業停止もありましたし対策などで稼働も落ちていたでしょう。
一年のうちの1/3、細かい影響なども鑑みると半年以上生産に関する影響を受け、納期はみるみる伸びていきました。
一番影響を受けている時期は当ブログでも紹介していますが、最長で1年半くらいまで伸びていました。
コロナ影響時は1200台しか販売できなかったが、その後2020年後半からは4000台以上の販売を続け、今では納期は平均10ヶ月くらいには確実に短くなっているのです。
一つのラインでどうやって製造を増やせているかというと、明確な時期はわからないですが、おそらく6月くらいから一気に販売台数がふえているのでそれくらいから二交替勤務にしたと言われています。
もちろん人件費はかかるし教育も大変だとは思うのですがライン増築という莫大な投資をしなくても倍まで増やせています。
ちょこっと調べただけでは「販売当時から1年待ちのジムニーが2年以上経って2倍の増産までしてるのに納期が全く変わってない!ライン増ヤスベキダー!」となるでしょうが事実は違うんです。
一つのラインでも二交替などにすれば半年でMAX18ヶ月待ちから現在の10ヶ月くらいにはできるんですよ。
これでも「スズキは納期を短く抑えるようにさらに努力すべきだ。納期を短縮するには、生産規模を拡大するしかない。」と考えますか?
以上で反論終わりにします。
ブチギレとかではないんですけど、自分は毎月調べていて変遷が重要でスズキや工場が頑張っていることもわかっていると首をかしげたくなる記事が、(色んな意を含む)著名という理由?で大きく取り上げられ、それが周知されるのはとても解せなかったのです。
しかし良くも悪くも世の中はそうやって回っていますね。
2021年3月版まとめ
ライン増やしたほうがいいぞ!の反論に熱くなってしまったのですが、納期としてみたら大きなわかりやすい短縮には至っていないが、確実に毎月ごとに半月くらいは短くなっていそうだという考察でした。
半月くらいだとすごく分かりづらいんですが、それが一年続くと6ヶ月納期が短縮されることになるわけです。
そうなれば今年中には新型ジムニーの納期も3ヶ月とかになることと思います。
実際に2020年下半期はそんなペースで短くなっているわけですから、大きな問題がない限りは安心していいんじゃないかと思います。
話はそれますが、「新型ジムニー」という呼称はいつまで使うんや!ってお話。
もう2年以上経つし新型ちゃうやろって意見もたまに見かけますが、ジムニーは現行モデルが長いこともあるので当サイトは納期問題が解決されるまでは新型をつけて書こうと思ってます。
すぐに手に入らない=新型って感じするじゃないですか。
というわけで引き続き納期問題が解決するまでは追っかけていきますのでよろしくお願い致します。
コメント